ドキュメンタリー映画『未来をなぞる 写真家・畠山直哉』の中に「人は楽しいことがないと生きていけないようにできている」という一言がある。もちろん、その後に「こんな時代にそんなことはほとんどないのだけど」と畠山さんは付け加えるのだけど。
私はこの世は生きるに値しないと確信している。いっぽうで有名なミュージシャンが「大丈夫、この世は生きるに値する」と歌っているのを見たりすると、やはり人には希望が必要なのだなと感じもする。しかし、息をするだけでもつらい、外に一歩出るだけでもしんどい自分からしたら、やはりそういう人種とはきっちり線引きをする他なく、自分のペースで生きてゆかねば彼・彼女らに徹底的に壊されるという恐怖もある。
もちろん、多くの人がそんな悩みすら持たずに人生を楽しめてしまえていることも私は知っているし、逆に戦争で捕虜になり拷問を受け死んでいくような、生まれてもろくに食べるものもなく餓死するしかないような、そういう人生でしかなかった人が大勢いることも知っている。生きるに値しない何かを、生得的であれなんであれラッキーだとそれを回避できるという、結局それだけのことでしかない。ほとんどの人はそのことに気づいてすらいないが。